色々な病気と症状
当ページは、当院の医師が不定期で更新しています。各種病気についての原因や症状、治療方法等の内容を詳しく解説していきます。
以下のタイトル部をクリックすると、内容をご確認いただけます。
- アレルギー性鼻炎・花粉症
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アレルギー性鼻炎の三大症状は、くしゃみ、鼻汁、鼻づまりです。
季節性と通年性に分かれており、原因は以下のように分かれます。
北海道の花粉飛散時期は下の表のようになっています。
シラカバは3月末~6月に多く飛散し、ハウスダストやダニは家の中にあるので年中症状が出現します。
主な原因は、抗原抗体反応によるものです。
空気中を浮遊している花粉などのアレルゲン物質が繰り返し鼻の粘膜に付着すると、アレルギー誘発物質(ヒスタミンなど)が放出され、くしゃみ、鼻汁、鼻つまり等のアレルギー症状が起こります。
アレルギー性鼻炎の検査には、採血を行ってアレルギーの数値を調べたり、鼻汁の中にあるアレルギー物質の量を調べるものがあります。
治療は、内服や点鼻薬から開始します。
花粉が飛散する前に予防的に治療を開始すると症状が軽くなることがわかっており、毎年症状が出る方はアレルギーの検査をして予防的に治療をすることをお勧めします。
アレルギーの検査や治療について、お気軽にご相談下さい。
- 子供の中耳炎
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・中耳炎
中耳に炎症が起きることを中耳炎と言います。
中耳は、外耳道(耳の穴)や鼓膜の奥にある空間で、鼻の奥と耳管という管でつながっています。(※図1)
中耳炎は、鼻腔から細菌やウイルスが耳管を通って中耳に入り、悪さをするために起こります。(※図2)
子供の中耳炎は、急性中耳炎と滲出性中耳炎が多くみられます。
・急性中耳炎
急性中耳炎は、風邪を引いた直後に中耳に菌やウイルスの膿汁が貯まった状態で、鼓膜が腫れるために、発熱、耳の痛みが出現します。
正常の鼓膜は透明ですが、中耳炎になり炎症が起こると鼓膜が腫れて赤くなります。鼓膜が破れると、中耳の膿汁が耳だれとして出ます。
治療としては、抗生物質の使用や、鼓膜の一部切開を行い膿汁排出します。
・滲出性中耳炎
鼻炎が続いたり、急性中耳炎の治療後に、中耳に滲出液(水)が貯まることがあります。
これが、滲出性中耳炎です。主な症状は、耳のつまり感や難聴です。治療は、内服治療、鼓膜切開術、鼓膜チューブ挿入術等を行います。
鼓膜切開術や鼓膜チューブ挿入術については下記で詳しく説明します。
・鼓膜切開術
急性中耳炎や滲出性中耳炎の治療で行います。
鼓膜の表面に痛み止めの麻酔をして、鼓膜を一部切開します。切開した穴は1週間程度で閉鎖します。
中耳炎をぶり返していないかを確認するため、定期的な診察が必要です。
・鼓膜チューブ挿入術
鼓膜切開を何度か行っても中耳炎を繰り返す方に行います。
鼓膜切開術後に、2mm程度のチューブを鼓膜に挟み込みます。チューブの換気により、中耳に貯留している滲出液を鼻の方へ流す効果があります。
チューブは数ヶ月~1年程度留置します。チューブが入っている間の水泳はご相談下さい。
チューブがきちんと入っているか確認するため、定期的な診察が必要です。
- 大人の中耳炎
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・中耳炎(急性中耳炎、滲出性中耳炎)は、小児で多くみられる病気です。
大人は小児より頻度は低いですが、風邪(上気道炎)をきっかけに、中耳炎になることがあります。
大人の中耳炎は、小児より治癒までに時間がかかります。
・大人の中耳炎が治癒までに時間がかかる理由
中耳炎になると炎症により中耳(鼓膜の奥のスペース)に滲出液が貯留します。
中耳の滲出液が多くなると、周囲の乳突蜂巣にまで広がります。(※下図①)
乳突蜂巣とは、中耳の周囲に存在するスポンジ様に発達した骨で、正常では内部に空気が入っています。(※下図レントゲン)
適切な治療により、乳突蜂巣に貯まった滲出液は徐々に中耳に戻ってきますが、大人は小児より乳突蜂巣の発育が良いので、乳突蜂巣に滲出液が貯まると、排出するまでに時間がかかります。(※下図②)
そのため、乳突蜂巣が大きい大人の方が治癒までに時間がかかるのです。
・中耳炎の治療
中耳の換気を良くするために、鼓膜切開術や鼓膜チューブ挿入術を行うことがあります。
(※鼓膜切開術や鼓膜チューブ挿入術については、上記の項目「子供の中耳炎」を参照下さい)
発熱や痛みが強いときは、入院して点滴治療が必要になることがあります。
- 耳鼻科と睡眠時無呼吸症
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・睡眠時無呼吸症
睡眠中に、いびきや無呼吸を繰り返し、さまざまな合併症を引き起こす病気です。
いびきは、睡眠中に鼻やのど(気道)が狭くなり空気が通る時にのどが振動して音が鳴る状態です。
無呼吸は、気道が閉塞して呼吸が止まる状態です。
・睡眠時無呼吸症の原因
鼻腔やのどの通り道(舌根)が狭くなるために起こります。
【鼻の通りが狭くなる病気】
アレルギー性鼻炎・鼻中隔弯曲症・副鼻腔炎など
【のどの通りが狭くなる病気】
扁桃肥大・肥満・小顎症など
・なぜ睡眠時無呼吸症が問題なのか?
無呼吸状態では、体内の酸素濃度が徐々に低下していきます。
酸素不足になると体はその状態を補おうとして、心臓・血管に負担がかかってしまいます。
睡眠時無呼吸症の方は、高血圧、不整脈、心筋梗塞、脳卒中の危険が2~3倍高くなると言われています。
・睡眠時無呼吸症の検査・治療
①診察:鼻やのどを診察します。必要に応じて、レントゲンやCTを撮影します。
②検査:簡易検査と精密検査を組み合わせて診断します。
③治療:CPAP(シーパップ)治療、マウスピース装着、手術を病態に応じて行います。
・CPAP(シーパップ)治療
重症の睡眠時無呼吸症の方が対象で、健康保険が適応になります。
自宅で就寝時に右絵のように鼻にマスクを装着して、呼吸をサポートする治療です。
月1回の通院で、治療の評価と指導を行い、受診時にデータを解析してCPAP卒業に向けて調整を行います。
・なぜ耳鼻科でCPAP治療?
CPAPは鼻から空気を送り、鼻やのどを広げて呼吸を楽にする治療です。
鼻やのどは、耳鼻科の専門領域で、アレルギー性鼻炎や扁桃炎を一緒に治療することで、CPAPの治療効率がアップします。
当院では近隣の病院と提携して、睡眠時無呼吸症の検査と治療を行っております。
- 睡眠時無呼吸症の治療:CPAP(シーパップ)治療
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・睡眠時無呼吸症の治療:CPAP(シーパップ)治療
上記の項目「耳鼻科と睡眠時無呼吸症」にて、睡眠時無呼吸症の治療は耳鼻咽喉科で行ったほうが良いことをお話しました。
睡眠時無呼吸症の治療法はいくつかありますが、最も効果的な治療のひとつであるCPAP治療について説明します。
・睡眠時無呼吸症の原因
舌の付け根(舌根)が睡眠中に重力で下がって、空気の通り道が狭くなることが原因の多くを占めます。(※舌根沈下)
・CPAP治療のしくみ
CPAP治療は、就寝時に鼻にマスクを装着して、マスクから空気を送り込むことで、舌根を持ち上げ、気道を広げて、無呼吸を改善する治療方法です。
・当院でのCPAP治療までの流れ
最初に問診や診察を行い、鼻やのどの狭い箇所を確認します。
次に検査を行い、睡眠時無呼吸症の重症度を判定します。
検査は2段階に分かれています。
①簡易検査(アプノモニター検査:健康保険3割負担の方で、約2,000円)
②精密検査(PSG検査:健康保険3割負担の方で、約10,000円)
重症度に合わせて、マウスピース治療、CPAP治療、手術などを選択します。
定期的に受診をすることで、CPAPは健康保険を使用して治療ができます。
・CPAP治療の効果
以下の効果が期待できます。
①無呼吸を抑えることで、心臓・血管への負担を減らし、心筋梗塞や脳卒中のリスクを減少させます。
②治療に慣れると熟睡できるようになり、朝の目覚めの悪さや日中の眠気が改善されます。
③熟睡することにより日中の活動量が増え、より効率的に体重を減量させることが期待されます。
・CPAP治療の注意点
以下の注意点があります。
①治療中は月1回の定期的な診察が必要です。
②診察時にCPAPのデータを確認し、使用時間や空気圧のチェックを行います。
③鼻から空気が入ることが刺激となり、鼻閉や鼻の乾燥症状が出現することがあります。その際は、診察時に点鼻薬などを処方します。
・CPAPの卒業
CPAPは一度開始すると、一生使い続けなければならないと危惧されている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
睡眠時無呼吸症が改善すればCPAP卒業となります。早い方は装着して約半年で体重が落ち、卒業となることもあります。
再度アプノモノター検査を施行して、無呼吸の回数が少なくなっていることを確認できれば卒業です。
CPAP治療は、いびきの音を小さくするだけではなく、心臓・血管への負担を減らし、心筋梗塞などの合併症を予防するという、予防医学の面からも重要とされています。
検査や治療について、詳しくは診察時にお尋ねください。
- 溶連菌感染症
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・溶連菌感染症の原因とは
ほとんどがA群溶血性連鎖球菌の感染が原因となります。
4歳~15歳くらいの子供に多くみられます。
・溶連菌の症状
主に、以下の症状があります。
①のどの痛み(咽頭痛)
②発熱
③皮膚の赤み、斑点状の湿疹
④舌の赤い斑点
・溶連菌は感染力が強い
溶連菌はとても感染力が強い細菌で、咳やくしゃみなどによって空気中に飛び散った病原体を吸入することにより感染します。
そのため、兄弟や親へ感染する場合もあります。
予防は、マスク装着・うがい・手洗いが重要です。
・溶連菌の検査
咽頭からの菌検査を行います。
迅速検査を行うと10分程度で結果が出ます。
早期発見、早期治療が大事です。
・溶連菌の治療
溶連菌と診断がついたら、抗生物質で治療を行います。
一般的にはペニシリン系の抗生物質を使用します。
・治療の注意点
溶連菌はきちんと治療しないと、再発することがあります。
通常は、5日~7日治療を行ってから再診してもらい、治癒しているかを確認します。
溶連菌感染後に、血尿が出る腎炎になることがあるので、後日尿検査を追加することがあります。
- 嚥下・嚥下障害
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・嚥下
口に入れた食べ物を、胃に送り込む運動の総称です。
嚥下には、咽頭・喉頭周囲の様々な筋肉や神経がスムーズに機能することにより成り立っています。
この機能が、上手に機能しなくなると嚥下障害となり、むせや誤嚥につながります。
顔を横から見ると、空気の通り道の気管は体の前側、食べ物の通り道の食道は体の後ろ側を通ります。
・嚥下の順序
準備段階として食べ物を認識して口の中に入れ、咀嚼して柔らかくします。
そして、以下の順序があります。
①柔らかくなった食べ物を、舌の運動や頬の動きで、のどの奥に送り込みます。
②のどの筋肉が動いて食べ物を下に移動させます。その際に喉頭蓋という蓋が閉じて、食べ物が気管に入らないようにします。
③のどから食道、胃へ食べ物が送り込まれます。
・嚥下の検査
【喉頭ファイバー】
鼻から細いカメラをいれて、咽頭・喉頭を観察します。
嚥下障害があると、咽頭に唾液や痰がたまっているのが確認できます。
【嚥下造影】
造影剤をのみ込む様子を、レントゲンで撮影します。
どのように口から食道へ運ばれていくか、一連の流れを確認します。
嚥下の働きが悪いと、途中で造影剤が停滞したり、気管へ入ってしまうのが確認できます。
・嚥下障害の治療
飲み薬で痰を少なくしたり、うがいを行うことで口の中の雑菌繁殖を減らし誤嚥性肺炎の予防を行います。
また、嚥下の状態に合わせたリハビリ、体操の指導を行います。
詳しくは診察時にお尋ねください。